→(1)の続きです。
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(1)では、「張りのある声」の定義が
人によって微妙に違いがあり、その背景には
『「声の張り」と「声の大きさ」との関係性』
にあると私が見出したことについて書きました。
では、
『「声の張り」と「声の大きさ」との関係性』
についてより具体的に見ていきましょう。
一般的な共通認識として、
「張りのある声」は、自信に満ちていたり、
エネルギッシュなイメージで、
「張りのない声」は自信が感じられず、
元気もないイメージだと思います。
そんな中、体育系の部活や営業研修のような場面で
「おい! 声をもっと張れよ!」
という表現が使われます。
この場合は、まずは大きな声を出すことが
「張る」ことを意味しています。
確かに、張りのある声というのは、
比較的声が大きい場合が多いでしょう。
ですが、私は
「声が大きい=声に張りがある」
という公式は成り立たない、
と捉えています。
実際、今回私が読ませていただいた
「張りのある声」について書かれた
声の専門家の方々の大多数、
特に歌唱指導されている方は、
私と同様のお考えのようです。
この辺りが混同されてしまうと、
例えば「声に張りがない」と悩まれている方が
闇雲に大きな声を出して喉を痛めてしまったり
することが起こらないとも限りません。
あくまでも「声が大きい」というのは結果です。
仮に声のボリュームが大きくなかったとしても、
「張りがある声」だと感じる声はあります。
それはどういう声かというと、
「響きがある声」
です。
声は空気の振動であり、波動です。
そして、声に響き(倍音とも言えます)がある程、
空気中を伝わり、結果的に「通る声」となります。
「響きがある声」が出るには、テクニック以前に、
全身に必要以上の緊張を抱えておらず、
しなやかで自由な身体であることが必須です。
言い換えると、楽器として「鳴りのよい」状態であることです。
ということで、身体を声を出す楽器として捉え、
「声の調律」というセッションを提供している者として、
「張りのある声」を以下のように定義すればよいのでは、
と私は感じています。
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「張りのある声」とは、
『響きがあり、通りがよく、耳心地がよい印象の声』
『結果として、その人の自信やポジティブなエネルギーが感じられる声』
である。
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声というのはご存知のように目に見えません。
ですが、確実に存在しているものです。
そんなものゆえ、言葉で表現しようとしても
完全に定義を一致させる方が困難というものです。
そして、この記事で書いてきたことは
あくまでも「声の調律師」である私の私見であって、
この考えが絶対だとは思っていません。
とはいえ、私はもう少し明確に定義した方が、
こと「声に張りがない」と悩んでいる方や
「張りのある声」を目指している方にとって、
一筋の光となると感じたことから、
今回の記事を綴りました。
あなたはどうお感じになりましたでしょうか?
もし、あなたに一筋の光が差したとしたら幸いです(^^)。
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